伊藤若冲の”狂気的な作品”とも言われる大作、「樹花鳥獣図屏風」が描かれた竹製の栞(しおり)をご紹介します。
「樹花鳥獣図屏風」は、伊藤若冲の代表作の一つであり、彼の芸術に込められた意味を理解する上で重要な役割を果たしており、現在もなお議論の渦中にある作品でもあります。
この絵画は、自然界の様々な要素を描いており、動物や鳥を中心に樹木や花などが美しく表現されています。
これらの要素や他の作品も含め、伊藤若冲が自然に対する深い関心と敬意を持っていたことを示しています。
伊藤若冲筆「樹花鳥獣図屏風」が描かれた竹製の栞
この竹製の栞に描かれている「樹花鳥獣図屏風」は、若冲の代表作の一つです。
若冲は、自然界の美しさを追求し、その美しさを絵画に表現することに情熱を注いでいました。
彼の作品は、写実的な描写と抽象的な表現が絶妙に融合しており、その美意識は独特であり、他の画家とは一線を画しています。
そんな独特の美意識の集大成が、この小さな竹製の栞にこめられ、日常に取り入れられるようになったのです。
伊藤若冲筆「樹花鳥獣図屏風」ってどんな作品?
樹花鳥獣図屏風は、動物を中心に描かれる「右」と、鳥を中心に描かれる「左」の2組で対をなす屏風作品となっています。
右隻サイズは133cm x 357cm、左隻サイズは137.5cm x 364cmと左右で大きさが異なっているのが特長で、現在は左右とも静岡県立美術館に所蔵されています。
左の鳥の屏風は行方不明となっていましたが、平成5年(1993年)に発見され、両方が揃いました。
この「樹花鳥獣図屏風」は冒頭に書いたように一部のアートファンからは「狂気的な作品」と呼ばれています。
これは揶揄などではなく称賛で言われるもので、その理由は升目描きと言う手法で描かれている為です。
升目描きは言葉通り、屏風をご覧の通り、升目に合わせて絵を描く日本では若冲独特の手法となっています。
似た手法で、ジョルジュ・スーラが編み出した点描技法がありますが、スーラの生まれは1859年です。
若冲は、その100年近く前から既に点描画の類の手法でを描いたのです。
染織品の下絵として制作されたという説が濃く、染織品に取りれた場合を想定して升目にしたとも考えられていますが、この升目の数は11万6000もあったそうで、この数こそ狂気の沙汰と言われる所以になっています。
スーラも点描にかかる時間は非常にかかるため生涯の作品数は多くありません。
40歳という当時の日本ではすでに遅い年齢にデビューした若冲が取る手法なのか、と考えると、そういった背景も含めて絵に対する狂気を感じずにはいられません。
この絵に対する渇望こそが若冲の絵に対するエネルギーの源なのかもしれません。