皆さんは、「光の魔術師」と呼ばれるヨハネス・フェルメールについて、どれくらいご存知ですか?
あの、ため息が出るほど美しい光の表現と、静謐な雰囲気が魅力の巨匠とされていますが、実は生涯に残した作品はわずか30数点ほど。
他の画家たちに比べて非常に少ない作品数なのに、なぜこんなにも人々を惹きつけるのでしょうか。
フェルメールって、一体何がそんなに凄いの?謎だらけの画家の魅力に迫る一冊
今回ご紹介する小林頼子さんの著書「フェルメール謎本」は、まさにそんなフェルメールの魅力と謎に迫る一冊。
フェルメールは一体どこがどう凄いのか?
デルフトという街で生まれ、ひっそりと生涯を終えた一人の画家の真実の姿とは?
彼はどんな時代に生きて、何を見ていたのか?
そして、“風俗画家”としての彼の本領は、一体どこにあったのでしょうか?
一枚ずつ読み取っていく、を体感。
真珠の耳飾りの少女
この本を読んでいると、まるでフェルメールの作品を一枚一枚、じっくりと読み解いていくような感覚になれるかもしれません。
小林頼子さんの丁寧な解説と、鋭い視点が、今まで何気なく見ていたフェルメールの絵の中に隠された、様々な物語や秘密を教えてくれます。
例えば、「真珠の耳飾りの少女」。
ただ美しい少女の肖像画、というだけではないんですね。
彼女の視線や表情、そして何よりも、その耳飾りの真珠の輝きには、フェルメールの深い意図や、当時の社会背景などが隠されているのかもしれない、と想像力が掻き立てられます。
オランダ黄金時代
初期のフェルメールの作品「マリアとマルタの家のキリスト」は風俗画ではなく物語画。
また、フェルメールが生きた17世紀のオランダという時代も、彼の作品を理解する上でとても重要なんです。
当時のデルフトという街の雰囲気、人々の暮らし、そして、科学や文化の発展といった背景を知ることで、フェルメールの絵が、単なる日常の切り取りではなく、もっと深い意味を持っていることに気づかされます。
フェルメールは宗教画、物語画など当時では格の高い絵ではなく、人々の日常を描く“風俗画家”として知られていますが、彼の描く日常の風景は、ただの記録ではありません。
そこに描かれた人物の佇まいや、室内の光の描写、そして、さりげなく配置されたインテリアや生活ツールに、フェルメールの繊細な感情や、深い洞察が込められているように感じるんです。
この本では、フェルメールの作品の構図や、光の捉え方、そして、彼が使ったとされる画材や技法についても洞察のきっかけを与えてくれます。
専門的な知識がなくても、わかりやすい文章で、ぐんぐん引き込まれていきます。
まるで、フェルメールの制作の秘密を、そっと覗き見ているような、そんなワクワク感。
フェルメールの真実を知ろう。
350年もの間、デルフトのどこか場所が謎で解明できなかった「小路」。実はフェルメールの叔母の家だった。
フェルメールの生涯は、謎に包まれている部分が多いことでも知られています。
画家としての活動期間や、師事した人物、そして、なぜあのような独特な画風を確立したのかなど、多くのことが未だに解明されていません。
この「フェルメール謎本」では、そうした謎にも果敢に挑み、様々な視点からフェルメールの真実に迫ろうとしています。
この本を読むと、フェルメールの絵を見る目がガラッと変わると思います。
今まで何となく美しいと感じていた光の表現や、静謐な空間の描写が、もっと深く心に響くようになるはず。
そして、「なぜ、彼はこんな絵を描いたのだろう?」「この絵には、どんな意味が込められているのだろう?」と深く考えたくなるはずです。
フェルメールを知りたい方にオススメの1冊
フェルメールの作品は、一枚一枚がまるでのようです。そこに描かれた一瞬の光景から、当時の人々の生活や感情、そして、フェルメール自身の想いが、静かに語りかけてくるような気がします。
「フェルメール謎本」は、フェルメール初心者の方はもちろん、長年彼の作品に魅せられてきたという方にも、新たな発見と感動を与えてくれる一冊だと思います。
謎多き天才画家の魅力に、どっぷりと浸ってみませんか?きっと、あなたもフェルメールの虜になるはずです!