日本絵画の象徴とも言える代表絵師といえば、大半の方が「葛飾北斎」と答えるでしょう。
FUJIYAMAを世界に知らしめ、ジャポニズムという日本絵画ブームを世界を代表する巨匠の画家たちにも大きな影響を与えた北斎は、画家の顔の他に「漫画家」の顔も持ち合わせていました。
日本で初めての漫画、原型は鳥獣戯画だと言われていますがこちらはお坊さんという事が分かっているくらいで作者不明です。
商業として漫画を作成し、「漫画家」として名が残っているのは北斎が初めてかもしれません。
そんな「北斎漫画」の全てを完全収録したリメイク版が出たのをご存知ですか?
『北斎漫画』テーマ別に完全収録したリメイク版<全三巻入りBOXセット>
富嶽三十六景を始め、数多くの名画を残した「画家」としての北斎とは別の「漫画家」としての北斎の作品がゴッソリと詰め込まれた『北斎漫画』リメイク版<全三巻入りBOXセット>です。
漫画と言っても今のようにセリフを噴き出して作るといった構図はまだなく、どちらかと言うと原画集などに近いものになります。
ただ、北斎は非常に多くの漫画絵を残しており、人の喜怒哀楽の豊かな表情など北斎の観察眼の高さを理解するには十分すぎる掲載数です。
こちらの『北斎漫画 全三巻入りBOXセット』に掲載された絵はおよそ4000カット、ページ数にして970ページと非常に多くのデータ量で参考資料などとしても有効活用できそうですね。
第1巻の「江戸百態」、第2巻の「森羅万象」、第3巻の「奇想天外」の全三巻が、一つのBOXセットに収められています。
北斎の独特な視点から描かれた江戸時代の様々な風景や人物、そして奇想天外なイメージを楽しむことができますよ。
北斎の緻密な筆致と独自の表現力が存分に発揮された作品群は、美しい絵画としてだけでなく、当時の社会や風俗を知る貴重な資料としても価値があります。
『北斎漫画』のリメイク版は、歴史と芸術を愛する人々にとって、必見の一冊と言えるでしょう。
、「江戸百態」(第1巻)
第一巻は「江戸百態」。
江戸時代に市井に暮らす人々(庶民)の姿や俗世、生活用具や建物などに至るまで、江戸の日常を描いた図版の総集編となっています。
江戸百態は人の喜怒哀楽などをえがいた「人物絵鑑」、庶民の日常生活の様子をえがいた「日常茶飯」、動きや活動的な描写の「動態活写」、江戸時代に庶民が日常的に使っていた「道具百科」の4つのカテゴリーで構成されています。
「森羅万象」(第2巻)
第二巻は「森羅万象。
江戸の町の周りに見られた動物や植物、名所などの風景、雨や風といった気象現象など、主に自然を描いた図版の総集編となっています。
森羅万象は、鳥や獣や虫、魚などのほか、ゾウや虎など当時に想像で描いた動物、想像上の動物、いわゆる霊獣など生き物を中心に描いた「鳥獣蟲魚」、山や草、川や木々など植物を中心に描いた「山川草木」、海や波風などをえがいた「波浪流水」、雨や晴れ、雪など天候をえがいた「天地造化」の4つのカテゴリーで構成されています。
「奇想天外」(第3巻)
第三巻は「奇想天外」。
和漢の故事や伝説、伝承、当時公開されていた芝居の名場面や宗教的な画題、幽霊や妖怪といった想像上の世界を中心に描いた図版の総集編となっています。
奇想天外は逸話やおとぎ話を元に描いた「狂態百出」、古い言い伝えの故事などを原作として描かれた「故事拾遺」、鬼や幽霊、妖怪などをえがいた「百鬼図会」、神や仏、聖人や僧侶などなど宗教的画題をえがいた「神仏風姿」の4つのカテゴリーで構成されています。
このBOXセットの魅力は、北斎の多様なテーマに触れることができる点にあります。彼の作品は、日本の歴史や文化を知る上で貴重な資料となっています。
このリメイク版は、収録されている作品の数やページ数が非常に多いため、北斎の作品に没頭することができます。
一つのテーマについての作品が集められているため、そのテーマについての理解を深めることができるでしょう。